耳の疾患

内服と定期的な処置が大切です

急性中耳炎

症状

急性中耳炎 症状

● 耳が痛い
● 発熱
● 耳だれが出る
● 耳の詰まった感じがする
● 聞こえが悪い
なかなか泣き止まない(乳幼児)
● 食欲がない、不機嫌になる(小児)


急性中耳炎は、かぜ症状に引き続く中耳への細菌感染が原因で発症します。特に小児では1歳までに80%がかかると言われています。耳の痛みや耳詰まりなどの症状は小児が訴えにくいことが多いため、上に挙げた症状が続く場合には注意が必要です。

通常は抗生剤の内服や耳処置で回復することが多いですが、強い炎症が続いたり未治療の場合は鼓膜が破れたり、滲出性中耳炎になることもありますので、注意が必要です。

また乳幼児や集団保育下(託児所や保育園)では、炎症が長引いたり一旦治っても再発する傾向がありますので、その場合には定期的な通院が必要になることもあります。

治療

まずは抗生剤を含めた内服薬で治療していきます。

炎症が強かったり長引く場合は、膿がたまった鼓膜の奥の空間から膿を除去するために、鼓膜切開術(鼓膜に2~3mm穴を空けます)を行います。

当院ではできるだけ鼓膜切開をしないで完治することを目標にしておりますが、必要と判断した際は鼓膜切開を検討します。(通常、切開した鼓膜の穴は、1週間以内に塞がります)

滲出性中耳炎

症状

滲出性中耳炎

● 難聴
● 耳のつまった感じ
● 耳鳴り
● 呼んでも振り向かない(乳幼児、小児)
● テレビの音を大きくする
● 大きな声でおしゃべりをする


滲出性中耳炎は、主に急性中耳炎の後に鼓膜の奥の中耳腔に液体が貯留した状態を指します。耳と鼻をつなぐ耳管が正常に機能しないと発症しやすくなるため、成長過程の小児や耳管機能が低下したご高齢の方にも見られます。

年齢を問わず一度発症するとなかなか改善しない場合もあり、特に小児期には長引く難聴が学習や発達に影響することもあるため注意が必要です。

上記の症状が続いて見られた場合は、一度耳の中を確認することをお勧めします。

治療

基本的には中耳粘膜を正常化する薬剤の内服や耳管通気の処置で治療します。

また副鼻腔炎を併発していると改善しにくくなるため、その場合には抗生剤の内服や吸入ネブライザー、膿の吸引処置を行います。

上記の治療で改善せずに長引く場合は、鼓膜切開や鼓膜チューブ留置術を外来で行うこともあります。

真珠腫性中耳炎

真珠腫性中耳炎は繰り返す中耳炎や鼻すすりの癖などをきっかけにして発症し、鼓膜の裏面に上皮組織が侵入していく疾患です。

放置するとさらに上皮組織が奥に潜っていき、音の伝導に必要な耳小骨や平衡を感知する三半規管などの骨組織を破壊して難聴やめまいの原因になったり、表情を作る顔面神経までも侵食して顔面神経麻痺の原因になったりもします。

定期的な通院の下で上皮組織を除去する必要があり、進行していく場合は全身麻酔による手術が必要なこともあります。

一度発症すると長期的に進行していくことが多いため、耳垂れや耳詰まり、悪化していく難聴や耳鳴などの症状がある場合は、ご相談下さい。

耳垢栓塞

耳垢栓塞(耳垢づまり)とは、入浴や水泳などをきっかけに自覚することが多く、耳の中に大量の耳垢が溜まった状態です。症状としては難聴や耳詰まりが挙げられ、放置しても改善する可能性が乏しく、また綿棒などで取ろうとするとさらに奥へ押し込むことがあるため、耳鼻科での除去処置が必要となります。